「曜変天目」とは
曜変天目とは、南宋時代(12~13世紀)に中国で作られた黒釉(こくゆう)茶碗で、焼成時の釉薬の変化で大小の斑紋が現れているのが特徴。
完全な形で現存するのは、世界で三つしかないとされ、いずれも日本(静嘉堂文庫美術館蔵、大徳寺龍光院蔵、藤田美術館蔵)にあり、国宝に指定されている。
なぜ「曜変天目」をぬいぐるみにしたのか
大変貴重な商品で、現物に触れることは不可能、国宝茶碗を手に取る疑似体験できないかということで、雰囲気を味わえるようにと、「曜変天目」に模したぬいぐるみを制作した。
コンセプトとして
このぬいぐるみを企画したのは、ミュージアムグッズのデザインや製造などを手がける株式会社East(東京都千代田区)。同社の開永一郎代表は「歴史上のそうそうたる方々が大切にしてきた。もし、どうぞ持ってみていいですよと勧められたら、どれだけうれしいだろう。それを疑似体験できるようなことを考えた」と語る。
陶芸で完全に似たようなものを作ることは難しい。一方で、実物と離れるほど「本当はどんなものなんだろう」と想像が膨らむはずだ。そこで、陶磁器とは正反対の柔らかい布で、ほぼ実寸の立体を作ることで、手にする喜びと本物を思う想像力、その両方が満たされると考えた。
反響
ぬいぐるみとはいえ、細かい造形にこだわった。器の外側の釉薬が垂れた部分は、ぬいぐるみにぼてっとした膨らみをつけることで再現した。内部の斑紋のプリントも工夫を重ねた。これまでポスターや図録など平面に印刷されたことはあったが、曲面に沿うように印刷された例はなかった。そこで稲葉天目を斜めから撮った写真を提供してもらい、複数の写真をつないだり、加工したりして、印刷用の画像を作った。
曜変天目の魅力の一つが、器をのぞき込んだときに見られる斑紋や光彩のきらめきだ。それを生かすために、印刷用の画像に不自然にならないぐらいの光の反射を残した。すると、ぬいぐるみにもかかわらず器の中に光沢感が生まれた。
本当は重さも再現したかったが、安全かつ大きさに影響しない重りを見つけるのが難しく、断念した。試作に数カ月を費やし、ようやく完成した。
試作品を披露した際、ある驚きがあったという。ぬいぐるみを手にした人たちが、まるで本物の茶碗を持つように、割れないように気をつけながら手で包むように持ってくれたという。
開代表は「自然にそうなることを見て、これはすごいなと感じた。制作を思いついたときは、みんながこうやって持つとは思わなかった。この反応が本当に全てだった」と振り返った。
どこで売っているのか
東京・丸の内の静嘉堂(せいかどう)文庫美術館のミュージアムショップで、5800円で販売中。
だったのだが、あまりにも人気が殺到して予約注文、さらに予約注文ですら停止中である。
残念ながネット販売はしてないようです。
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