

1. はじめに:このカードの正体
このページで紹介されている「ENEOSカード(NICOS)」は、クレジットカード大手の三菱UFJニコスが発行主体となっているカードです。
ENEOSのガソリンスタンドでお得になるカードには大きく分けて2つの系統があります。
- トヨタファイナンス発行系:ENEOSカード C・P・S(現在の主流)
- 三菱UFJニコス発行系:ENEOSカード(NICOS)(今回のページ)
この2つは名前が似ていますが、中身は別物です。ただし、「ガソリン代が最大7円/L引きになる」というメインの特典内容は、トヨタファイナンス系の「ENEOSカード C」とほぼ同じ仕様になっています。
つまりこのカードは、「ENEOSでの給油をメインにし、使えば使うほど安くなるキャッシュバック型カード」と言えます。
2. 最大のメリット:キャッシュバックシステム
このカードを持つ最大の理由は、ガソリン・軽油代の節約です。このページでは「キャッシュバック」という言葉で表現されていますが、具体的には「カードの月間利用額に応じて、翌月の給油単価が値引きされる」という仕組みです。
仕組みの詳細
毎月のカードショッピング利用金額(ENEOSでの利用だけでなく、スーパーやコンビニなどVISA/Mastercardとしての全利用額)の合計によって、翌々月の給油値引き単価(レート)が決定されます。
【利用額と値引き額の対応表】
| 月間カード利用金額 | ガソリン・軽油 値引き額 |
| 7万円以上 | 7円 / L 引き |
| 5万 〜 7万円未満 | 5円 / L 引き |
| 2万 〜 5万円未満 | 4円 / L 引き |
| 1万 〜 2万円未満 | 2円 / L 引き |
| 1万円未満 | 1円 / L 引き |
※ 灯油に関しては、利用金額に関わらず一律で 1円 / L 引き です。
この仕組みの「強み」
一般的なガソリンカードは「一律2円引き」や「ポイント還元率1.0%」などが主流ですが、このカードはメインカードとして生活費(食費、光熱費、携帯代など)を7万円以上決済に充てる人にとっては、最強クラスの還元率を誇ります。
例えば、レギュラーガソリンが170円/Lの時、7円引きなら約4.1%の実質割引になります。これは一般的なクレジットカードのポイント還元(0.5%〜1.0%)を大きく上回ります。
注意点:適用上限
キャッシュバックが適用される給油量には上限があります。
- ガソリン・軽油:月間 150L まで
- 灯油:上限なし(ただし一律1円引き)
150Lを超えた分の給油については、通常価格(あるいは店頭での会員価格)となり、7円引きの恩恵は受けられません。しかし、一般的な自家用車の利用(月50〜100L程度)であれば、十分カバーできる範囲です。
3. 年会費とコストパフォーマンス
年会費の仕様
- 初年度:無料
- 2年目以降:1,375円(税込)
家族カード
- 年会費:無料(永年)
- 発行枚数に制限がある場合がありますが、家族の利用分も「月間利用額(7万円判定)」に合算されるため、ランクアップを目指しやすくなります。
損益分岐点のシミュレーション
年会費が1,375円かかるため、「どれくらい使えば元が取れるか」が重要です。
仮に、月間7万円以上利用して「7円/L引き」の権利を得たとします。
年会費1,375円を12ヶ月で割ると、月あたり約115円のコストです。
115円 ÷ 7円/L ≒ 16.4L
つまり、「毎月7万円以上カードを使い、かつ毎月17リットル以上給油する」人であれば、年会費を払ってでもこのカードを持つ価値があります。車によく乗る人であれば17リットルは1回の給油でクリアできる量ですので、ハードルは非常に低いです。
逆に、月間利用額が少なく「1円/L引き」のランクに留まる場合、年会費の元を取るのは難しくなります。この場合は、年会費無料(条件付き)の「ENEOSカード S」などを検討すべきでしょう。
4. 非常に強力な「ロードサービス」
このページで大きくアピールされているもう一つの特典が、**「ENEOSロードサービス」**です。
これは別途JAFなどに加入していなくても、カードを持っているだけで付帯するサービスです。
サービス内容詳細
もしものトラブル(故障・事故)の際、電話一本で以下の対応を無料で受けられます。
- レッカー移動(10kmまで無料)
- 自走不能になった場合、最寄りの修理工場や指定場所までレッカー移動してくれます。
- 10kmを超えた分は実費となりますが、近場のトラブルであれば十分カバーできます。
- 路上修理(30分以内無料)
- キー閉じ込み:開錠作業
- バッテリー上がり:ジャンピング作業
- タイヤパンク:スペアタイヤ交換
- ガス欠:給油作業(ガソリン代は実費)
- 落輪引き上げ:1m以内の落輪など
JAFとの比較
JAFの年会費は4,000円ですが、このカードは年会費1,375円でこれだけのロードサービスがついてきます。
「高速道路でのパンク対応」や「長距離レッカー」など、JAFの方が手厚い部分はありますが、「バッテリー上がり」や「近距離のレッカー」といった日常よくあるトラブルに関しては、このカード付帯のサービスで十分事足ります。
「JAFに入るほどではないが、保険として何か欲しい」という層には最適です。
利用条件
- 対象車両:車両総重量3t未満の自家用四輪車
- 対象地域:日本国内全域
- 重要:利用時にカードの提示が必要です。不携帯だと有料になる場合があるので、車検証と一緒に保管するのではなく、財布に入れておく必要があります。
5. その他の付帯特典
ページ内では「NICOS特典」や「メンテナンス割引」として紹介されています。
カーコンビニ倶楽部での割引
車のキズ・ヘコミ修理で有名な「カーコンビニ倶楽部」を利用する際、このカードを提示すると修理工賃が5%割引になります。
万が一車を擦ってしまった際、数万円の修理費の5%は数千円になることもあるため、地味ながら嬉しい特典です。
NICOSカードとしての安心機能
三菱UFJニコスが発行しているため、クレジットカードとしての基本的な補償もしっかりしています。
- ショッピングパートナー保険:このカードで購入した商品が、購入後90日以内に破損・盗難に遭った場合補償されます(年間限度額100万円)。
- カード盗難保険:紛失・盗難による不正利用を補償。
- NICOSネットセーフティサービス:ネット通販での不正利用を補償。
6. よくある誤解:「ENEOSカード S/C/P」との違い
ここが最も複雑で、かつ重要なポイントです。
ENEOSの店頭やネット広告でよく見る「ENEOSカード S(スタンダード)」「C(キャッシュバック)」「P(ポイント)」は、トヨタファイナンスが発行しています。
一方、今回のURLのカードは三菱UFJニコスが発行しています。
なぜ2種類あるのか?
歴史的な経緯により、ENEOS(旧日石三菱など)は複数のカード会社と提携を結んでいました。その名残で、現在も並行して発行されています。
比較まとめ
| 特徴 | ENEOSカード (NICOS) | ENEOSカード C (トヨタ) | ENEOSカード S (トヨタ) |
| 発行会社 | 三菱UFJニコス | トヨタファイナンス | トヨタファイナンス |
| 年会費 | 1,375円 | 1,375円 | 1,375円 (※年1回利用で無料) |
| 特典タイプ | 変動キャッシュバック | 変動キャッシュバック | 固定値引き |
| 最大値引 | 7円/L | 7円/L | 常に2円/L |
| 判定基準 | 月間利用額 7万円でMAX | 月間利用額 7万円でMAX | 利用額関係なし |
| ロードサービス | あり | あり | あり |
結論として:
「ENEOSカード(NICOS)」と「ENEOSカード C」は、スペック上はほぼ同じです。
最大7円引きになる条件も「月間7万円利用」と同じです。
では、どちらを選ぶべきか?
- VISA / Mastercardブランドを選びたい場合:NICOSの方がブランド選択の自由度が高い場合があります(時期による)。
- 既存の銀行口座やアプリとの相性:三菱UFJニコス系のアプリ(MUFGカードアプリ等)をすでに使っているなら、NICOS版の方が管理しやすいでしょう。
- トヨタ車オーナー:トヨタファイナンス系(C/P/S)の方が、トヨタの販売店での特典などと相性が良い場合があります。
7. このカードがおすすめな人・おすすめでない人
ページの内容を総合的に分析した結果、以下のような適性診断ができます。
★ おすすめな人
- ENEOSでガソリンを入れることが決まっている人他のスタンド(シェルやコスモなど)には行かず、ENEOS一択の人。
- 月々のカード利用額が安定して7万円を超える人生活費をこのカードに集約できる人。これなら常に「7円引き」の恩恵を受けられ、年会費を払っても大幅なプラスになります。
- JAFなどのロードサービスに入っていない人カード付帯のロードサービスがお守り代わりになります。
- 三菱UFJニコスブランドに安心感がある人大手カード会社のセキュリティやサポートを重視する人。
× おすすめでない人(他のカードが良い人)
- 月々のカード利用が少ない(2万円以下など)人→ 「ENEOSカード S(トヨタファイナンス)」がおすすめ。年1回利用で年会費無料で、常に2円引きされるため、ライトユーザーにはこちらの方が圧倒的に得です。
- 楽天ポイントやdポイントなどを貯めたい人→ 「楽天カード」や「dカード」をENEOSで使う(特別提携店ポイント1.5倍など)方が、ポイント管理が楽な場合があります。ただし、値引き額換算ではENEOSカード(NICOS)の7円引きには敵いません。
8. 申し込みから発行まで
このページにある「お申込みはこちら」ボタンからWeb完結で申し込みが可能です。
- 必要書類:運転免許証(保有者のみ)、引き落とし口座の情報
- 審査:三菱UFJニコスの基準で審査が行われます。一般的なクレジットカード審査と同様です。
- 発行期間:通常、申し込みから2〜3週間程度で手元に届きます。
また、ETCカードも同時に申し込むことができ、ETCカードの年会費は無料(発行手数料がかかる場合がありますが、本カードの年会費に含まれるケースが多いです)です。ETC利用分も「月間7万円」の判定に含まれるため、高速道路をよく使う人はさらにお得になります。
9. まとめ
https://www.eneos.co.jp/consumer/ss/card/card_e/ のページは、「ENEOSヘビーユーザーのための、三菱UFJニコス版・最強割引カード」の案内ページです。
このページを見る上で最も重要な判断基準は、「あなたは毎月7万円以上、クレジットカードを使いますか?」という一点に尽きます。
- YESなら、このカードはあなたのガソリン代を劇的に(リッター7円も)安くし、さらにロードサービスで安心を提供してくれる最高のパートナーになります。
- NOなら、このページではなく「ENEOSカード S」の方を検索し直すのが正解です。
ENEOSのスタンドについてはこちら。



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